2003年6月11日の火星 -最接近の88日前- |
撮影:橋口 隆(せんだい宇宙館館長) |
2003年の夏(8月〜9月)、15年ぶりに火星が大接近します。
火星は地球のすぐ外側をまわる惑星で、直径が地球の約1/2ほどの小さな惑星です。 太陽のまわりをやや"だ円"にまわっているため、2年2ヶ月ごとに起きる地球と火星との会合時の距離が変化し、 15年または17年に一度、火星の大接近が起こります。 とりわけ、2003年の接近は、過去にさかのぼっても79年ぶりとも、約6万年ぶりとも言えるほどの大接近(最接近は、8月27日)となります。
たいへん貴重なチャンスですのでこの機会に是非観察して下さい。
関連のページ
ギャラリー:2003年の火星
その1 (6〜7月)
その2 (8月〜8月20日)
その3 (8月20日〜9月3日)
その4(9月4日〜)
イベント:2003.08.30〜09.28 火星大接近を見よう
近年の火星の接近 | |||
年月日 | 明るさ | 見かけの直径 | 備 考 |
1999.05.01 | -1.6等 | 16.2 秒角 | |
2001.06.22 | -2.3等 | 20.8 秒角 | |
2003.08.27 | -2.9等 | 25.1 秒角 | 大接近 |
2005.10.30 | -2.3等 | 20.2 秒角 | |
2007.12.19 | -1.6等 | 15.9 秒角 | |
2010.01.28 | -1.3等 | 14.1 秒角 | |
2012.03.06 | -1.2等 | 13.9 秒角 | 小接近 |
■ 観察の方法と時期 ■■ 火星の観察のポイント ■
大接近の頃の火星は、見かけの直径が25秒角で月の70分の1程度です。これは、200m先の10円玉の大きさに相当します。 このため、大接近といえども火星の観察には望遠鏡が必須となります。
また、接近の極大日は8月27日ですが、急激に遠ざかるわけではなく、前後1ヶ月くらいは見かけの直径は20秒角を越えて、 家庭用の望遠鏡でも表面の模様が認められるようになりますので、じっくりと観察しましょう。
大接近の頃からは火星は日没後の夕空に見やすくなります。宇宙館での観察時間も長く取れるようになります。
以下のグラフは、鹿児島における時刻です。
せんだい宇宙館は休館日(毎週月曜)以外は、毎日21時まで開館していますので、天候が悪くない限り50cm大望遠鏡での 観察が出来ます。また、この期間には火星の観察会を予定しています。
大きさの変化を楽しもう
火星は地球からの距離が大きく変化するために、見かけの大きさもそれに反比例して変化します。
望遠鏡で観察する際に、その大きさの変化を楽しんでみて下さい。
出来れば、デジカメなどで望遠鏡の接眼部から火星を撮影してみましょう。
火星の模様を観察しよう
望遠鏡をとおして見る火星は、火星の初夏の頃で、南極に発達した極冠(ドライアイス)が次第に溶けはじめ、
日々小さくなってゆく様子などを観察することができるでしょう。
また、有名な大シュルティスなどいろいろな地表面の姿を観察できます。
時には雲や朝霧などが発生することもあります。
そして、しばしば「黄雲」と呼ばれる大規模な砂嵐が発生することもあります。
黄雲が発生すると表面の様子をうかがいしることが困難になってきますが、
今回の大接近でも発生するかが注目されています。
撮影:橋口 隆(せんだい宇宙館館長)