2017.12.30 ケンタウルス族天体による恒星食で歴史的な観測成功
12月30日 未明 ビエノールによる13等星の食
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日本初! ケンタウルス族天体による恒星食が捉えられた
ケンタウルス族天体とは、木星と海王星の間に軌道も持つ小天体です。小惑星と彗星の両方の特徴を持つために、
ギリシャ神話の半人半馬人を模して、このグループの名称があります。ケンタウルス族天体は極めて少ないために、
この族の天体による恒星食はなかなか起こりません。
Felipe Braga Ribas博士(ブラジル国立天文台)らにより、12月30日未明(日本時間) ケンタウルス族天体ビエノール(54598 Bienor)
がペルセウス座の恒星(UCAC4-643-011336 13.2等)を食する恒星食の予報が発表されました。掩蔽帯は南西諸島を中心とする日本付近に当たっていました。
2017年12月30日 01時24分頃、この観測において、鹿児島県与論島の上野裕司さんにより、ケンタウルス族天体ビエノール(54598 Bienor) による食が観測されました。
国内でケンタウルス族天体の恒星食観測が成功したことは、歴史上今回が初めてです。
また、細井克昌さん(福島県三春町),冨岡啓行さん(茨城県日立市),北崎勝彦さん(東京都武蔵野市) においては、通過(食なし)が観測されました。
世界的にもケンタウルス族天体による恒星食は、過去に5天体しか観測されていません。このうち、最大の天体(10199)Chariklo では 15回
の観測があります。
■ (54598)Bienor による恒星食の観測結果 ■
以下は、現時点での暫定的な整約図です。
図中にある 直径133km の円は ビエノール(Bienor) の推定直径です。観測の結果からは、推定されていた直径に対して短い 53.7km の弦が求められています。
Reduced by Tsutomu Hayamizu (Update 2018.1.28)
※ 観測結果は星食のメーリングリスト JOIN に公開されたものです
■ (54598)Bienor による恒星食の解析 ■
ケンタウルス族天体ビエノール による恒星食の連続画像
上野裕司さんの観測から得られた恒星食の連続画像です。(上野裕司さん提供)
Obserbved by Yuuji Ueno (Yoron, Kagoshima).
観測から得られたライトカーブ
上野裕司さんの観測から、Ribas博士(ブラジル国立天文台)の解析により得られた減光復光のライトカーブです。
対象星の光量は水色で示されています。
Obserbved by Yuuji Ueno (Yoron, Kagoshima).