2014.11.15 太陽系外縁天体(208996)2003AZ84 による恒星食の観測成功
太陽系外縁天体では国内3例目
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冥王星付近からさらに遠い太陽系の外縁には、近年の観測技術の発達により多数の小天体が発見されるようになって来ました。
これらは「太陽系外縁天体(TNO/ Trans-Neptunian Objects)」と呼ばれています。
Felipe Braga Ribas博士(ブラジル国立天文台)らにより、11月15日17時40-50分(世界時)頃 太陽系外縁天体(208996)2003AZ84
により かに座の恒星(2UCAC35204422 15.8等)を食する恒星食の予報が発表されました。
この現象に対して多くの観測者が臨みましたが、予報より3分ほど遅い、17時52分(世界時) 井狩康一さん(滋賀県守山市) により、
ビデオ観測と冷却CCDによる観測で、食による減光が観測されました。さらに、掩蔽帯延長上の 雲南天文台(中国)と
タイ国立天文学研究所(NARIT(National Astronomical Research Institute of Thailand))でも減光の観測に成功しました。井狩さんは 2013年1月にも(20000)Varuna で減光を検出されおられ、
TNO天体で2度目となりました。これは世界的にもまれな成功事例です。
また、小和田稔さん(静岡県浜松市)では 通過(食なし)が観測されました。
このほか、山村秀人さん(滋賀県米原市),渡辺裕之さん(岐阜県垂井町),浅井晃さん&渡部勇人さん(三重県いなべ市) でも観測に臨んだものの
現象時刻が遅れたために、実際の現象前に観測を終了しています。
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Ribas博士による TNO 2003AZ84 の影の経路 |
井狩さんによる冷却CCD画像の連続動画(WMV 10.8MB / クリックすると開始します) |
■ (208996)2003AZ84 による恒星食の観測結果 ■
以下は、せんだい宇宙館による現時点での暫定的な整約図です。データは、Ribas博士はじめ パリ天文台(仏)に送られており、今後さらに専門的に解析されます。
推定直径 700kmのTNO(太陽系外縁天体)に対して 長径 833km 短径 576km 位置角-25.3°の天体の楕円形状をあてはめました。
Reduced by Tsutomu Hayamizu (Update 2014.12.3)
* 上の整約図の日時は世界時です
* 井狩さんの観測は、[Ikari 1 = ビデオ] と [Ikari 2 = 冷却CCD] によります。
* ラインが途切れている観測は、その時点で観測を終了していることを示しています。
※ 観測結果は星食のメーリングリスト JOIN に公開されたものです
■ (208996)2003AZ84 による恒星食の解析 ■
井狩康一さんの観測成果
井狩康一さんのビデオ観測を、宮下和久さん(長野県安曇野市)により解析された結果です。
減光時のライトカーブ |
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復光時のライトカーブ |
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Obserbved by Yasukazu Ikari / Analyzed by Kazuhisa Miyashita |
タイ国立天文学研究所の観測成果
Andrea Richichi氏 (NARIT/タイ国立天文学研究所)による暫定的な観測結果です。
Courtesy by Andrea Richichi (NARIT)