向井さんによる矮新星発見時の画像 |
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発見者の向井優さんと観測所 |
■ 向井優さんのコメント ■
退職後の楽しみとして,アマならではの役に立つことをしたいと全天サーベイ
を計画実行してから撮影日数197日,835時間,25,967コマでの発見でし
た。
気力体力の衰えを感じる最近ですので,3年を目途に成果をあげようと頑張っ
てきましたが,3年目にしてやっと1個発見することができました。
7月19日夕刻からCCDで夏の天の川を中心に撮影し,その後デジカメのテスト撮影
をしました。この間何回も曇り,また疲れからそのつどやめようとしたのですが,
東の空から雲が消えていくような気がしました。
ただでさえ空が明るく,2等星が限界の場所です。おまけに月が明るくよく見えな
かったのですが,夜明けまで2時間ぐらいでしたので,しぶしぶ頑張ってみようか
と始めたところ,7か所目で過去画像にない天体を見つけました。
さっそくAAVSO−VSXで調べたところ該当がなく,DSS−Red画像では当該位
置に18.7等の恒星がありました。この時この天体が増光したと確信しました。
気持ちが高揚することもなく,とても不思議な気持ちでしたが,冷静にいつものよ
うにDSS−IR画像の調査,TOCP,CBETで発見報告はないか,彗星小惑星は
いないか,惑星とその衛星はいないか,SIMBADの調査,自作の変光天体調査
リストにないか,最後に2MASSの調査と淡々と進めることができました。
そしてIAU天文電報中央局アソシエイツの中野主一さんにメールと画像を送り電話でお願いしました。
少し横になり8時15分にTOCPを見たところ,中野さんが掲載してくださったことが
わかりました。誤報だったらどうしょうと心配になったこともありましたが,TOCPを
見られた札幌の金田さんからお祝いと調査結果のメールが入り,安心したとたんに
熱く込み上げてくるものがありました。イタリアの天文台やカナリア諸島のテイデ山
にある天文台で確認され,どのような矮新星なのかは分光観測などを待つ必要が
ありましたが,WZ型らしいことはわかっていました。
数少ないチャンスを取り逃がしたこともありましたが,いままでご教示いただいた方
々に感謝しつつ,今後も続けていきたいと思います。
■ 発見画像の撮影データ 撮影場所 JCPM鹿児島ステーション IAU天文台コード 364 鹿児島市吉野町の自宅 撮影時間 20140719.73833 26:43:12.0 JST 中心位置 23h 30m −05° 00′ 写野 15° × 10° レンズ ニコンf105mm F2.0を絞り2.8で CCD STL−6303E 赤外カットフィルター ビニングなし 露出 20秒※ 当サイトへの掲載は、JPEG形式に変換してあります。
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