2011.12.30〜2012.1.2 太陽系外縁天体ヴァルナの観測にMITより来場
観測当日(1月2日)は残念ながら天候不良
■ 関連のリンク ■
MIT Planetary Astronomy Lab (マサチューセッツ工科大学 恒星食予報) /「Varuna 2012.01.02 Occultation January 02,2012」
仙台市天文台/ 「小惑星バルナ ふたご座の星を隠す!」/
「ヴァルナの観測」
なよろ市立天文台/ 「惑星候補天体Varuna(20000)による恒星の掩蔽(えんぺい)」
■ 関連のニュース ■
せんだい宇宙館「2012.1.2 太陽系外縁天体 ヴァルナ による恒星食 」
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シュプリングマンさん(中央) とせんだい宇宙館のスタッフ |
星食の観測で米国の研究者を支援
2012年12月30日〜1月2日、米国のMIT(マサチューセッツ工科大学) から、日本で起こる天体観測のために、3名の天文学者が来日しました。
この天文現象は、太陽系の外縁にある天体ヴァルナ(Varuna)が、ふたご座の恒星を隠すもので、MITの観測と計算により 1月2日22時頃 日本で見られると予報 されていたものです。来日されたMITの天文学者は3名で、それぞれ 鹿児島大学天文台(入来/口径1m望遠鏡),仙台市天文台(宮城県/口径 1.3m望遠鏡),なよろ市天文台(北海道名寄市/口径1.6m望遠鏡)で
1月2日深夜に同時に観測を実施しました。 この3地点の他にも せんだい宇宙館(口径 50cm望遠鏡),広島大学東広島天文台(口径
1.5m望遠鏡)等 多数の天文台で観測に臨みました。
この観測は、MITの アマンダ・ボッシュ(Amanda Bosh)博士から 当館に寄せられたもので、当館を通じて全国の公開天文台等に協力が呼びかけられました。MITから来日する3地点の天文台も当館からの協力依頼によるものです。
鹿児島に来場されたのは ソンディ・シュプリングマン(Sondy Springmann)さんで、せんだい宇宙館にて受け入れ、鹿児島大学天文台(入来町)で観測しました。
また、仙台市天文台と なよろ市立天文台へは それぞれ アマンダ・ザンガリ(Amanda Zangari)さんと マット・ロックハート(Matt Lockhart)さんが来場されました。
太陽系外縁天体ヴァルナは、2000年11月に発見された冥王星の外側にある準惑星の候補天体です。太陽系外縁の天体は近年の太陽系の天文学では太陽系の成因を知るうえで最も注目されている分野です。このヴァルナが隠すのは
ふたご座にある USNOB 1162-0144973 という 16等星 で、この星食の観測が成功すると、ヴァルナの大きさや形状,また大気の組成に関する情報まで得られる可能性が期待されていました。
観測当日は無念の天候不良ながら国内のアマチュアが活躍
1月2日 の観測を成功させるために、事前に入念な準備が進められてきました。しかし残念なことに、MITの研究者の来場された 鹿児島大学天文台,仙台市天文台,なよろ市天文台
はいずれも天候不良で観測は不成立となりました。せんだい宇宙館,広島大学東広島天文台でも同様で、これらすべての観測地点で1時間〜数10分 直前までは観測可能であったにもかかわらず
急に発生した雲によりさえぎられてしまいました。
※ 仙台市天文台では「食なし」の観測が得られた可能性があります。
この天候不良をカバーしたのが国内の熟練したアマチュア天文家でした。食による減光が観測されたサイトはありませんでしたが、8地点で通過(食なし)の成立した観測が得られました。この他にも、掩蔽帯延長上のハレアカラ天文台(ハワイ)でも通過が観測されました。
通過を観測したサイトは、浜野和弘巳・博子さん(福島県郡山市),冨岡啓行さん(茨城県日立市),宮下和久さん(長野県安曇野市),高島英雄さん・大場富士夫さん(千葉県柏市),北崎勝彦さん(東京都武蔵野市),浅井晃さん(三重県いなべ市),小和田稔さん(静岡県森町),上野裕司さん(鹿児島県与論町)
です。
以上の他にも多数の天候不良のご連絡を頂きました。
これらの結果は、当館により MIT に報告され、今後の研究に活かされます。
以下は、せんだい宇宙館による整約図です。
Reduced by Tsutomu Hayamizu (2012.1.8)
実線は通過の観測を、破線は MIT の研究者が来場された3地点および広島大学と当館の経路(いずれも天候不良)を示します。
※ これらは主に星食のML JOIN を通じて報告されました
■ 関連の画像集 ■
太陽系外縁天体ヴァルナの移動を捉えた画像
(2011.12.17〜19/仙台市天文台 小石川正弘さま)
せんだい宇宙館のビデオ撮影による対象星
(2011.12.19 早水勉)
対象星に向かって移動するヴァルナ
(2012.1.1 13h00m - 13h40m UT/仙台市天文台 小石川正弘さま)
鹿児島大学天文台における予備観測の風景
(2011.12.30)