2006.12.05 小惑星ジュリアによる掩蔽の観測成果


 2006.12.05 04時39分頃 観測された小惑星ジュリア(89 Julia)による恒星食の結果です。
この現象は、IOTA(The International Occultation Timing Association)により予報されていた現象です。 掩蔽された恒星は、しし座にある 11.6等星(2UCAC 34843524)で、千葉県から茨城県の広域で 4地点の観測者により減光が観測されました。また、6地点では通過(食なし)が観測されました。
 減光の観測に成功されたのは、次の方々です。
冨岡啓行さん(茨城県日立市),浜野和弘巳さん(栃木県矢板市),内山茂男さん(千葉県栄町),高島英雄さん(千葉県柏市)。
また、佐藤光さん(福島市),浜野和博子さん(福島県郡山市),八重座明さん(茨城県日立市),相川礼仁さん(埼玉県坂戸市), 北崎勝彦さん(東京都武蔵野市),橋本秋恵さん(埼玉県秩父市),小和田稔さん(静岡県浜松市)、では通過(食なし)が観測されました。 ただし、八重座明さんのご報告は「微光のため疑わしい」とのことで、整約計算の結果からは減光した可能性が高いものと推測されます。
以上のほかにも天候不良などで観測できずの報告も頂いております。 ご協力いただきました皆様には、この場をお借りしまして御礼申し上げます。

下図はせんだい宇宙館による整約計算の結果です。推定直径151kmの小惑星に対して、9.7km〜150.3km の小惑星の弦が求められました。

ジュリアによる掩蔽
Reduced by Tsutomu Hayamizu. (Update 2006.12.15)


高島英雄さんの観測ビデオの解析

以下は、高島英雄さん(千葉県柏市)の撮影されたビデオを元に、Limovieで解析した食の瞬間の変光曲線です。 高島さんの観測位置は極めて珍しい「小惑星による恒星の接食」で、このグラフからは、「54.0〜54.9秒」と「55.1〜55.4秒」で2回減光しているように見えます。


Asteroidal Grazing
VCR recorded by Hideo Takashima (Kashiwa Chiba ,Japan)


Dave Herald氏(IOTA,オーストラリア)による解析結果
今回の現象における、IOTA(The International Occultation Timing Association)のDave Herald氏による解析の結果を ご紹介します。
氏による解析からは、169.4 km(+/-2.9 km) x 136.9 km(+/-2.4 km),長軸の位置角 -0.5°+/-2.6°の楕円 が得られました。


2UCAC 34843524(mag11.6) by (89)Julia on 2006 Dec.04, Japan
/Reduced by David Herald (IOTA)

この小惑星による恒星食は、2005年8月13日、北アメリカ(メキシコ,米国)でも7地点で観測に成功しており、 この観測からは、174.4 km(+/-5.9 km) x 135.6 km(+/-2.6 km),長軸の位置角 -66.5°+/-4.0°の楕円 が 得られており、今回日本で得られた結果とよく一致しています。


HIP7948(mag7.6) by (89)Julia on 2005 Aug.13, Mexico, USA
/Reduced by David Herald (IOTA) (Update 2006.11.11)


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