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金環日食限界線研究会プレスリリース(第2号)
国際天文学連合の採用値= 696,000km (1891年 A.Auwers)
とされています。なんと、100年以上も前に計測された数値のまま現在に至っており、その観測誤差も +/-500km 程もあるとされているのです。
これには理由があります。地上からの観測では、主に大気の揺らぎによって観測の誤差が大きくなってしまいます。
また、探査機を飛ばしても極めて高温の太陽に近づくことは出来ないからです。
「食(または 掩蔽(えんぺい))」という天文現象は、しばしば天体の大きさを正確に測定するために利用されます。
大気のない宇宙空間で天体と天体が隠しあうのですから、大気の影響を受けないのです。
今回の金環日食はまさに 「月をモノサシとして、太陽を測る」観測 として応用されました。
月もかつては、その地形が大きな誤差を含んでいましたが、2007年 H2Aロケットにより種子島から打上げられた日本の月探査衛星(2009年 運用終了)
の測量の成果により月縁地形は 10m もの高精度で分かるようになりました。すなわち、月が精度の良いモノサシとして利用できるようになっていたのです。
今回の金環日食では、 金環日食の始まりと終わりに見られる「ベイリービーズ」の明滅の瞬間の時刻を精密に観測することが行われました。
ベイリービーズとは、月の谷間から漏れる太陽の光が、ビーズのようにつながって見える現象です。
この瞬間の、太陽と月の位置関係から太陽の大きさが算出できるという理屈です。
そして金環日食の当日、全国23地点が観測に臨み現在(2012年5月26日)までに少なくとも11地点で観測に成功しました。 そして速報のために一部の映像が分析され、その結果以下の太陽半径の暫定値が得られました。
金環日食限界線研究会による暫定値= 696,010km +/-20km
この結果、100年以上前の計測値とかなり一致した数値が得られました。特筆すべきはその誤差で、これまで +/-500km もあるとされていた
数値が +/-20km まで追い込まれています。研究会では、今後数ヶ月かけてより多くの観測データを解析し、9月に行われる日本天文学会秋季年会
に何らかの成果を発表したいとしてます。
その後も、研究会の推奨する観測手法に則って得られたビデオが寄せられる見込みで、今後もさらに成果は拡大することでしょう。