「いん石」は、宇宙を漂っていた石や鉄のかけらが、地球に落下したものです。
小さなかけらの場合、ほとんどは、地球の大気との摩擦で燃え尽きてしまうので、
地表まで達して「いん石」となるものは極めて貴重です。
このほど鹿児島市立科学館に展示されたいん石は、坂上務博士(九州大学名誉教授,せんだい宇宙館名誉館長)
のご厚意により寄贈されたもので、赤崎義則鹿児島市市長からは感謝状を贈呈されました。
米国アリゾナ州で多数発見された「オデッサいん石」と呼ばれる石片のひとつです。
科学館への展示に当たっては、子供たちをはじめお客様が、より宇宙を身近に感じてもらえるよう、
本物のいん石に直接触ることが出来るようにした、ということです。
見るだけでなく、直接さわることから生まれる好奇心が、より深く育まれることを期待します。
「いん石」の展示は各地にありますが、このような「さわれるいん石」の展示は多くなく、
九州では他に、長崎市立科学館(長崎市)と清和高原天文台(熊本県清和村)があります。
「いん石」は、地球の大気との摩擦で激しく加熱されるので、表面が焼けただれています。その表面に是非触れてみてください。
科学館に展示されたものは、鉄質で磁気を帯びているため磁石が吸い寄せられる様子も分かります。
また、数十億年も宇宙を漂ってきたことや、地球よりも古い材質であることを思いながら触れてみると、
いっそう宇宙を深く感じることが出来るでしょう。
坂上 務 博士(いん石の寄贈者/九州大学名誉教授,せんだい宇宙館名誉館長)のコメントより
いん石に限らずとも、本物はもっとも雄弁に語りかけます。
これからは宇宙の時代です。特に将来を担う子供たちには、宇宙の実物に触れて宇宙への思いを身近にしてください。
井手 学 様 (鹿児島市立科学館天文係)のコメントより
坂上務博士より寄贈された「オデッサ隕石」が
3月20日の鹿児島市立科学館リニューアルオープンとともに一般公開となりました。
この隕石は、1921年にアメリカのテキサス州オデッサ地方で発見されたもので、大きさは約12cm×10cm×7cm
重さは3.6kgもあります。現在、このような比較的大型の
隕石の入手は難しく、学術的にも大変貴重なものです。
科学館では、多くの方々に宇宙のロマンや神秘を感じて
もらえるように、この隕石を直接手でふれることができる
ように展示しておりますので、ぜひ一度ご覧ください。