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2003.05.29 (観測資料) 白昼の金星食


2003年5月29日の日中、月が運動の過程で金星を隠す「金星食」が起ります。
食の起る地域は日本全域で、14時頃に月の東側(太陽に向いた側)から潜入、約1時間後の15時過ぎに出現します。 日本で見ることのできた金星食は1989年12月2日以来の13年振りで、次回は2012年8月14日とたいへん珍しい 天文現象ですが、白昼であることと、この時の金星,月(新月直前) は太陽からの離角が小さくて観察しづらいものです。 少なくとも望遠鏡は必要ですが、白昼の金星に望遠鏡を向けるには熟練を要します。 また、誤って太陽に望遠鏡を向けてしまうとたいへん危険ですので、できれば当館のような公共の天文施設 を利用して観察して下さい。

■ 金星食の予報 ■
観察のポイント
今回の「金星食」は、たいへん細いながら月の明るい側から金星が潜入していき、月の暗い側から出現します。

この時の金星は地球からもっとも離れている時期に当たります。 金星は地球に近い時期には、半月や三日月形に見えますが、この時の金星は小さな丸い斑点状にみえるはずです。 その理由を考えてみましょう。

金星の実際の大きさはちょうど地球と同じくらいです。 一方、隠す側の月は地球の直径のわずか1/4程度です。大きさの違いから距離の差を実感してみましょう。

金星は小さいながら面積をもって見えていますので、潜入や出現には30秒程度の 時間がかかります。徐々に隠されていく(または出現してくる)金星の様子から月の運動の速さを実感しましょう。

各地の予報
地域名潜入時刻潜入に要する時間出現時刻出現に要する時間
札幌14h04m49s頃33sec15h10m28s頃30sec
仙台14h02m38s頃29sec15h19m37s頃26sec
東京14h00m51s頃29sec15h21m56s頃25sec
大阪13h55m08s頃31sec15h20m12s頃26sec
福岡13h46m24s頃32sec15h16m26s頃27sec
鹿児島(川内)13h46m46s頃33sec15h16m37s頃28sec
那覇13h45m41s頃41sec15h08m54s頃34sec

■ 鹿児島での見え方 ■
鹿児島における、金星食潜入の頃の太陽と月の配置です。 自宅で観測される場合(手動で導入する)には、赤道儀を使って太陽の位置から金星の離角を計算して導入する必要があります。

参考データ
太陽と金星の位置(於:鹿児島/潜入時)
太陽
  赤経: 04h 22m 30.2s  赤緯: +21°33'00" 
  方位: 248°44'23"  高度: +67°16'35" (地平大気差考慮: +67°16'59")
金星
  赤経: 02h 53m 42.1s  赤緯: +15°07'39" 
  方位: 258°32'18"  高度: +45°52'51" (地平大気差考慮: +45°53'48")

太陽 から金星の位置 
  離角: 22°00'13" 
  位置角: +256°47'
  赤経差:01h 28m 48.1s = 22.200°
  赤緯差:06°25' 21"   = 06.423°

ステラナビゲータVer.5(アストロアーツ)により作図


■ 関連のリンク ■
星の子館 (兵庫県姫路市):インターネット中継を行うサイト、全国の観測会の情報など総合的に紹介されています。
国立天文台天文ニュース「5月29日に白昼の金星食」
アストロアーツ社 「特集 2003.05.29 金星食」


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