2001.08.16 「薩摩いん石」が鹿児島県立博物館に里帰り
1886年10月26日、鹿児島県菱刈町および大口市付近に轟音と共にシャワーのような
いん石の雨が降り注ぎました。これが「薩摩いん石」です。薩摩いん石は、日本国内で回収された
いん石としては、3番目の重量となるたいへんに大規模なものでしたが、それらの多くが海外に流出して
しまいました。現存する薩摩いん石の最大の破片は、イギリス大英博物館の 28.8kg のものです。
鹿児島県立博物館では、ニューヨークの米国自然誌博物館で9kgほど所蔵していた薩摩いん石の
一部を、鉱物科学研究所(東京)を経て入手されました。入手したいん石の破片は、528g で、コンドライト
(球粒いん石)L6 という種類です。かつて鹿児島県に落下した大いん石の里帰りとなり、
県内の天文関係者にとってはビッグニュースとなりました。
この薩摩いん石入手には、県立博物館 成尾英仁先生が主にご尽力されました。
成尾先生には、「いん石の種類としては、もっとも一般的なものです。鹿児島県にもこんなに
大きないん石の落下したことを知ってもらいたい」とお話頂けました。
薩摩いん石は、現在県立博物館で一般公開されています。
日本に落下したいん石の回収重量ベスト10
順位 | 落下年月日 | 名 称 | 落下地 | 回収重量 | 備考 |
1 | 1885発見 | 田上 | 滋賀県大津市田上山 | 174 kg | 鉄いん石 |
2 | 1850.06.12 | 気仙 | 岩手県陸前高田市気仙町 | 135 kg | |
3 | 1886.10.26 | 薩摩 | 鹿児島県大口市及び伊佐郡 | 46.5 kg | |
4 | 1890発見 | 白萩 | 富山県中新川郡上市町 | 33.6 kg | 鉄いん石 |
5 | 1837.07.13 | 米納津 | 新潟県西蒲原郡吉田町 | 31.6 kg | |
6 | 1866.06.07 | 曽根 | 京都府船井郡丹波町 | 17.1 kg | |
7 | 1882.03.19 | 福富 | 佐賀県杵島郡福富町 | 16.8 kg | |
8 | 1741.07.08 | 小城 | 佐賀県小城郡小城町 | 14.4 kg | |
9 | 1909.07.24 | 美濃 | 岐阜県岐阜市 他 | 14.3 kg | |
10 | 1986.07.29 | 国分寺 | 香川県綾歌郡国分寺町及び坂出市 | 11.5 kg | |
天文年鑑2001年版(誠文堂新光社)より
NEWSメニューへ戻る