2007.11.16 やぎ座 X28551星によるグレージング(接食)結果


X28551の接食(倉山高幸氏ビデオより)
2007年11月16日 19時頃、南九州から東北地方で やぎ座 X28551星(7.7等)の接食(南限界線)がありました。
この観測には、鹿児島県指宿市(5名4ポイント),福井県小浜市(1名1ポイント),岩手県矢巾町(2名2ポイント)が 臨みましたが、各地 雲の多い天候で、鹿児島県で倉山高幸さん,福井県で石田正行さん,岩手県で沖田博文さんの 3名が観測に成功しました。
整約計算の結果、これまで知られていた Watts の月縁を、さらに精密にする成果が得られました。
 下図は、相馬充氏(国立天文台)による整約計算の結果です。

2007年11月16日 X28551 接食の整約図
Reduced by Mitsuru Soma.(Update 2007.12.8)

以下、整約計算者相馬充氏によるコメントです。
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X 28551 (SAO189403) の接食の観測報告をありがとうございます.
 今回は雲にじゃまされたために一部しか観測できなかった点が残 念ですが,この観測結果から,おもしろいことがわかりました.ほ ぼ1年前の2006年10月31日には ZC 3236 の接食があり,限界線は今 回よりやや南を通っていたため,九州では(種子島を通過)観測さ れませんでしたが,関西から宮城にかけての地域で観測され,浅井 さん,石田さん,田名瀬さん,井田さん,松井さん,宮下さんと, 渡辺さんら仙台の人たちなど多くの方が観測なさいました.今回の 接食はそのときの接食と月の秤動が近く,月の同じ山々を観測して いるのです.特に沖田さんは,月の山のほとんど同じ場所を観測し ましたし,石田さんもかなり近いところを観測しました.ただ,月 の秤動がやや異なるため,観測された見かけの山の高さが異なって いるところがあることがわかりました.さらに,1971年10月26日に は ZC 2809 の接食がアメリカのフロリダで観測され,30人により 170を超える明滅が観測されたのですが,これも月の秤動が今回の に近く,今回の月縁はその1971年の結果と昨年の結果のほぼ中間に 位置していることがわかりました.



Graze of X 28551 on 2007/11/16                  Basis = 99C

  WA   Height   WH   Diff   l     b    Observer's Name    PhenC      UTC
   o     "      "     "     o     o                               h  m   s
158.099+1.972 +1.54a+0.43 -7.50  3.74 MASAYUKI ISHIDA      DD 1   9 52 49.01
158.139+1.941 +1.58a+0.36 -7.50  3.74 MASAYUKI ISHIDA      RD 1   9 52 50.63
158.160+1.924 +1.60a+0.32 -7.50  3.74 MASAYUKI ISHIDA      DD 1   9 52 51.50
162.857-0.430 -0.04a-0.39 -7.56  3.74 HIROFUMI OKITA       Ot 1  10  2  2.00
163.576-0.180 -0.77a+0.60 -7.56  3.74 HIROFUMI OKITA       RD 1  10  2 29.90
164.019+0.048 -0.16a+0.21 -7.56  3.74 HIROFUMI OKITA       DD 1  10  2 47.10
164.065+0.075 -0.20a+0.27 -7.56  3.74 HIROFUMI OKITA       RD 1  10  2 48.90
161.343+0.225 +0.11 +0.12 -7.42  3.74 Takayuki KURAYAMA    DD 1   9 46 34.56
161.381+0.238 +0.09 +0.15 -7.42  3.74 Takayuki KURAYAMA    RD 1   9 46 36.20
161.415+0.251 +0.08 +0.17 -7.42  3.74 Takayuki KURAYAMA    DD 1   9 46 37.70
161.850+0.444 +0.29a+0.16 -7.42  3.74 Takayuki KURAYAMA    RD 1   9 46 56.62
161.990+0.518 +0.35a+0.17 -7.42  3.74 Takayuki KURAYAMA    DD 1   9 47  2.70
162.349+0.732 -0.03 +0.76 -7.42  3.74 Takayuki KURAYAMA    RD 1   9 47 18.28

凡例
WA    :ワッツ角(Watts Angle)
Height:ビデオ観測により求められた平均月縁からの高さ
WH    :ワッツの月縁図による高さ(Watts Height)
       後続の"a" は外挿のため精度がやや悪い,
       "b" はワッツのデータがほとんどないため大きな外挿を要し精度がかなり悪いの意.
Diff  :Height と WH の差
l,b   :月の秤動(l,b)
Observer's Name:観測者名
Phen  :現象 (DD:暗縁からの潜入,DB:明縁からの潜入,RD:暗縁からの出現,RB:明縁からの出現)
C     :観測の確かさ("1" は "現象は確かである" の意)
UTC   :現象時の協定世界時

* 整約は相馬充氏(国立天文台)によります。

観測に参加された皆様(順不同,敬称略) 鹿児島チーム:森永成一,倉山高幸,佐伯和久,前田利久,山田智彦/以上 5名 福井チーム:石田正行/以上1名 岩手チーム:沖田博文,佐藤信/以上2名


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