2007.5.13 小惑星ディフォブスによる掩蔽の観測成果


2007年9月 日本天文学会秋季年会 ジュニアセッション での講演資料 (掲載: 2007.9.30)
2007年日本天文学会秋季年会ジュニアセッションにおいて、愛知県立一宮高等学校、岐阜県立岐山高等学校、岐阜県立大垣東高等学校による 「AstroHA = ハートピア安八高校生観測チーム」の皆さまにより、この現象の研究成果が発表されました。関係者の皆さまのご厚意により、 ここにご紹介致します。このような意欲的な取組みが、多くの若い学生さんに刺激になり勇気を与えることを期待しております。

  トロヤ群デイフォブスの断面 〜小惑星Deiphobus による恒星食より〜 (PDF:186kB)


 2007.5.13 19時46分頃 観測された小惑星ディフォブス(1867 Deiphobus)による恒星食の結果です。 掩蔽された恒星は、うみへび座にある 8.6等星(HIP 53416)で、近畿地方,東海地方の広域7地点で 食による減光が観測されました。また、7地点では通過(食なし)が観測されました。
 減光の観測に成功されたのは、次の方々です。
ハートピア安八高校生観測チーム(岐阜県安八町),伊藤敏彦さん(三重県鈴鹿市), 渡部勇人さん&浅井晃さん&伊藤正彦さん(三重県いなべ市),内山雅之さん(三重県尾鷲市), 田名瀬良一さん(三重県伊賀市),田中利彦さん(三重県伊賀市),石田正行さん(滋賀県守山市)。
また、佐藤光さん&菅野祐一さん(福島県二本松市),橋本秋恵さん(埼玉県秩父市),小和田稔さん (静岡県浜松市),山西郁也さん&大北佳秀さん&海部奈緒子さん(大阪府岸和田市),中島洋一郎さん &大倉信雄さん(岡山県瀬戸内市),監物邦男さん(岡山県総社市),影山和久さん(熊本市) の7地点では 通過(食なし)が観測されました。
ご協力いただきました皆様には、この場をお借りしまして御礼申し上げます。

 この小惑星はトロヤ群に属する小惑星としても注目されます。国内において、トロヤ群による小惑星の 恒星食の観測は過去に一度しかありません。このような遠方の小惑星は形状がいびつなものが多いとの指摘もあります。 「トロヤ群」とは、木星とほぼ同じ軌道上で木星の前後60度の位置に存在する小惑星群です。 この位置はラグランジュ点と呼ばれる力学的に安定な領域で、すでに2000個近くの小惑星が確認されています。

下図はせんだい宇宙館による整約計算の結果です。推定直径 123kmの小惑星に対して 69.7〜123.2km の小惑星の弦が求められました。

ディフォブスによる掩蔽(広域)
ディフォブスによる掩蔽(拡大)
Reduced by Tsutomu Hayamizu. (Update 2007.5.22)

図中の観測者のお名前において、
*「AstroHA」は、「ハートピア安八高校生観測チーム」の略称で観測者は、
 岐阜県立岐山高等学校/ 青木孝憲,山田雄太,浅井俊介,神谷朋佳(生徒4名)
 岐阜県立大垣東高等学校/ 土屋 恵,向井良騎,佐橋知佳(生徒3名)
 高村裕三朗(一宮高校教員),松本正樹(岐山高校教員),和田喜孝(大垣東高校教員)
 船越浩海,生川雅章(ハートピア安八天文台職員),西谷 徹(岐阜県博物館職員)
(敬称を略します)の皆さまの共同観測です。

※ 観測結果は星食のメーリングリスト JOIN に公開されたものです


瀬戸口貴司氏(東亜天文学会)による解析結果

今回の現象における、瀬戸口貴司氏(東亜天文学会)による解析の結果をご紹介します。
 小惑星(1867)Deiphobus の断面: 141.4 km(+/-2.4 km) x 92.2 km(+/-1.8 km),長軸の位置角 33.7°+/-3.9°の楕円
と計算されています。
また、下の経路図は、解析結果から推定される実際におきた小惑星の掩蔽帯です。




Reduced by Takashi Setoguchi (OAA) / (Update:2007.5.22)




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