2006.1.26未明 土星による恒星食の予報
- Occultation by Saturn -


■ 2006.1.26 土星による恒星 HIP42705 (8.0等)食が起ります - 注目は土星の環の通過 -

1月26日 4時の土星の位置(於:鹿児島)   ※ステラナビゲータVer.7 により作図
 1月26日未明から明け方にかけて、土星による8等星の恒星食が起ります。 掩蔽としては長丁場の現象ですが、土星は2日後に衝を迎える時期で、最良の条件で観測できそうです。

この掩蔽では土星の本体による現象以上に、土星を取り囲む環を通過する様子 に興味を惹かれます。 注目はA環への潜入とA環とB環の境界にあるカッシニの空隙の通過です。ビデオ観測の場 合、なるべく土星を拡大してリングの輝度を落とすことがポイントです。恒星は衛星ティタ ン(8.1等)とほぼ同じ明るさですから、ティタンを感度調整の目安にするとよいでしょう。低倍率 では近傍のプレセペ星団とあいまって、美しい情景を楽しむことが出来ることでしょう。
 さらに、土星から離れた場所にあるかもしれないとされる環による掩蔽にも注意していただきた いと思います。かつて、惑星探査機 Pioneer 11号, Voyagers 1,2号 の観測で、 土星の赤道面内で土星の磁気圏内にある,土星半径の14倍と19倍のところに微粒子の環が あるらしいとの指摘がなされているからです。その後、同様の恒星食による解析等から、 その場所は半径の12.5倍のところとなったらしく,1989年の掩蔽では12.5倍から19倍の 場所で掩蔽が起こるかどうか確かめようという呼びかけがなされています。 今回の掩蔽でもこの付近で掩蔽が起こらないか注視するとよいでしょう。
土星の赤道面内で土星半径の12.5倍と19倍の場所を破線で示し,衛星と恒星との位置関係を示す予報を掲載しますので 観測の参考にしてください。図は、東京で見た場合ですが,日本国内ではほとんど同じと考えて差し支えありません。

※ 予報と観測方法の詳細については、「月刊星ナビ(アストロアーツ)2月号」に掲載されています。


1月26日 土星による HIP42705 (8.0等)の食 の予報
対象星 HIP42705 (mag8.0) の位置
 赤経 08h 42m 10.791s,赤緯 +18°56' 03.66"(J2000)
予報図
土星近傍詳細図
1/26 恒星から見た土星と地球
1/26 恒星から見た土星と地球の位置(時刻はUT)
予報時刻は日本の場所による差と恒星と土星の位置の誤差により5分程度の誤差を見込む。
A環潜入  3h38m 
A環出現  3h52m 
B環潜入  3h54m 
土星潜入  4h54m 
土星出現  5h45m

各地の日出等の時刻は次の通り。 
     薄明始  日出   土星没 
札幌  5h17m  6h56m  7h16m 
仙台  5 15   6 47   7 05 
東京  5 18   6 46   7 04 
京都  5 33   7 00   7 18 
福岡  5 53   7 19   7 36 
那覇  5 57   7 16   7 33

予報提供:相馬充(国立天文台)

関連のリンク
IOTA ヨーロッパ The Saturn System Occults HIP 42705
International Outer Planets Watch Saturn images
2003年11月15日 土星によるTYC 1343-01615-1(8.4等)の掩蔽の画像が掲載されています。A環やC環の中で輝く恒星が分かります。


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