11月15日と25日に、立て続けに土星による8等星の恒星食が起ります。15日の現象は、
南北アメリカ大陸が対象で、潜入から出現までが見られます。日本では土星
本体の食は見られませんが、低空ながら興味深い輪からの出現をなんとか見ること
が出来そうです。東日本ほど有利になります。
これら3本の恒星食は、土星の本体による現象以上に、土星を取り囲む輪を通過する様子
に興味を惹かれます。土星の輪は完全な遮蔽物質ではないために、恒星の明るさが微妙に
変化しながら通過することを楽しめることでしょう。
予報提供:相馬充(国立天文台),早水勉(せんだい宇宙館)
また15日深夜には、すぐ近傍の10等星が土星本体をかすめるように通過する現象も
起ります。
日本では、リングを含めてほぼ全行程が見れる11月25日の現象が注目されます。
さらに、土星から離れた場所にあるかもしれないとされる環による掩蔽にも注意していただきた
いと思います。かつて、惑星探査機 Pioneer 11号, Voyagers 1,2号 の観測で、
土星の赤道面内で土星の磁気圏内にある,土星半径の14倍と19倍のところに微粒子の環が
あるらしいとの指摘がなされているからです。その後、同様の恒星食による解析等から、
その場所は半径の12.5倍のところとなったらしく,1989年の掩蔽では12.5倍から19倍の
場所で掩蔽が起こるかどうか確かめようという呼びかけがなされています。
今回の掩蔽でもこの付近で掩蔽が起こらないか注視するとよいでしょう。
今回は前述のよう3個の恒星の掩蔽が予報されています。土星の赤道面内で土星半径
の12.5倍と19倍の場所を破線で示し,衛星と恒星との位置関係を示す予報を掲載しますので
観測の参考にしてください。図は、東京で見た場合ですが,日本国内ではほとんど同じと思
って差し支えありません。