1999.10.09

一等星食のビデオ観測による成果

 全国の天文ファンによる一等星食のビデオによる観測成果です。
この現象の研究成果が'99.10月 9日の日本天文学会秋季年会(於:九州大学)にて発表されました。
なお、このビデオの解析は主にせんだい宇宙館にて担当しました。
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太陽系 (月縁,星食解析,ビデオ観測)

星食のビデオ観測から新たに見つかった月縁の山と谷

相馬 充 (国立天文台),早水 勉 (せんだい宇宙館)

星食観測の意義としては,主として,月縁地形の精密化と Hipparcos 座標系の
固有運動システムの誤差解析の2点がある.そのため,星食の精密な時刻観測が
求められている.

1 等星の星食は望遠鏡なしで,家庭用ビデオカメラで精密な時刻観測を行なう
ことができることから,昨年から今年にかけて見られたアルデバランとレグルス
の食のビデオ観測を一般の方にも呼びかけた.1998年10月 9 日のアルデバラン
食の結果については春季年会において発表した (J03a).今回は
1999年 1 月 5 日のレグルス食と 2 月23日のアルデバラン食の結果について
発表する.

保時法としては,JJY 等の時報の同時録音のほか,全国での同時性が
確実な衛星テレビの画面を現象前後に録画していただくという方法を
採用した.衛星テレビの画面と正確な時刻との対応は国立天文台の原子時計を
使用し,また,録音されている時報とビデオのフレームとの対応は
せんだい宇宙館の視聴覚設備を使用して行なった.

1 月 5 日のレグルス食では,ワッツ角で 62゜や 67゜の付近 (潜入側) と
267゜付近や 276゜から 283゜まで (出現側) の月縁データが得られた.
特に出現側は視差の影響でワッツの月縁データがない場所に当たっており,
貴重なデータである.しかも,月の秤動が l = +7.0゜, b = -0.6゜で,b が
0゜に近いため,特に,日食観測の解析から太陽半径の変化を求める際などに
重要な意味を持つ.

2 月23日のアルデバラン食では,ワッツ角で 87゜と 105゜付近や
111゜から 121゜まで (潜入側) と 244゜,251゜,254゜付近 (出現側) の
月縁データが得られた.月の秤動は l = +1.5゜, b = +6.8゜であった.
特にワッツ角 115゜付近には,これまで知られていなかった2つの山に
挟まれた谷がくっきりと浮かび上がった.これは従来の眼視観測では個人差に
埋もれて検出できなかったもので,ビデオ観測の有用性をはっきり示す結果で
ある.

1 等星の食は今後,2005年のアンタレス食までない.しかし,小望遠鏡を
使えば,6 等級程度までの恒星の食のビデオ観測が比較的容易にできる
ことから,今後も星食のビデオ観測を呼びかけていきたい.
星食国際中央局に集められている過去の観測とも合わせて,現在,
Hipparcos 座標系の固有運動システムの誤差を解析中である.
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* このページは、日本天文学会1999年秋季年会予稿からの転載です。

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