2006.4.22 小惑星クレオパトラによる掩蔽の観測成果


 2006.4.22 23時50分頃 観測された小惑星クレオパトラ(216 Kleopatra)による恒星食の結果です。
この現象は、IOTA(The International Occultation Timing Association) により予報されていたものです。 掩蔽された恒星は、おとめ座にある 12.5等星(TYC 5527-01434-1)で、茨城県日立市の冨岡啓行さんにより食による減光が観測されました。 また、土川啓さん(石川県鳳珠郡能登町柳田星の観察館「満天星」)では通過(食なし)が観測されました。
以上のほかにも天候不良などで観測できずの報告も頂いております。 ご協力いただきました皆様には、この場をお借りしまして御礼申し上げます。

下図はせんだい宇宙館による整約計算の結果です。 冨岡さんの観測からは、72.7km の小惑星の弦が求められました。 なお、この小惑星は過去の恒星食やレーダーによる観測によって、現在では 217kmx94km の特異な形状であることが知られています。(詳しくは下記)

ホルムティアによる掩蔽
Reduced by Tsutomu Hayamizu. (Update 2006.4.25)

※ 観測結果は星食のメーリングリスト JOIN に公開されたものです


小惑星クレオパトラ観測の歴史
この小惑星クレオパトラ(216 Kleopatra)は、過去の恒星食やレーダーによる観測で、多角的に形状が求められています。

過去の恒星食
小惑星クレオパトラは、海外において過去にも少なくとも6回の恒星食が観測されています。
 1980年10月10日 HIP114784(mag8.8)
 1991年 1月19日 TYC0164-01394-1(mag9.2)
 2000年 3月 7日 USNOB1002-0041643(mag12.5)
 2001年 2月 3日 TYC5513-00101-1(mag12.3)
 2003年 8月10日 TYC0481-02944-1(mag10.0)
 2005年 1月18日 2UCAC32014147 (mag12.0)
これらのうち、1980年と1991年の観測の結果は顕著な成果で、この結果からこの小惑星が極めて得意な形状であることが 推測されました。

1980年の恒星食(米国)の結果1991年の恒星食(米国)の結果
Reduced by David Herald (IOTA)

レーダーによる直接観測
小惑星クレオパトラは、変光の大きな小惑星としても知られており、ライトカーブの測定からも細長い形状が予測されていました。 2005年5月には、アレシボ天文台(プエルトリコ)によるレーダー観測で、直接この小惑星の形状を解析することに成功しました。 その結果、217kmx94km の極めて特異な「犬の骨ガム」のような2つの塊が合体したような形をしていることが判明しています。
レーダー観測の結果については、下記のリンクをご参照ください。

日本スペースガード協会機関誌「あすてろいど」31号
NASAの記事「An Asteroid Goes to the Dogs」
このように観測の歴史を紐解いてみると、過去の興味深い経緯が分かります。
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