2004.12.07 小惑星イオによる掩蔽の観測成果


 2004.12.07 23時33〜34分頃 観測された小惑星イオ(85 Io)による恒星食の結果です。
この現象は、瀬戸口貴司氏(東亜天文学会)により見出され、IOTA(The International Occultation Timing Association) により改良されていた予報です。 掩蔽された恒星は、いっかくじゅう座にある11.5等星(2UCAC 34244226)で、 ほぼ予報どおりに全国5地点の観測者により、減光が観測されました。また、1地点では通過(食なし)が観測されました。
 減光の観測に成功されたのは、次の方々です。高島英雄さん&大場富士夫さん(千葉県柏市:共同観測), 井田三良さん(滋賀県八日市市),石田正行さん(滋賀県守山市),田中利彦さん(三重県伊賀市),前野拓さん(徳島県那賀川町)。 通過の観測は、八重座明さん(茨城県日立市)です。

下図はせんだい宇宙館による整約計算の結果です。推定155kmの小惑星に対して、177.8〜188.7kmの小惑星の弦が求められました。

イオによる掩蔽
Reduced by Tsutomu Hayamizu. (Update 2004.12.18)

* 図中の「高島、大場」は、高島英雄さんと大場富士夫さんの共同観測です。
* 前野さんの観測における破線は、減光の瞬間が不明であったことを示します。

※ 観測結果は星食のメーリングリスト JOIN に公開されたものです


以下は、David Herald氏(豪)による整約計算結果です。197.9km × 102.6km の長楕円の断面が当てはまりました。

イオの楕円フィット
12月7日(85)Io による掩蔽の David Herald氏によるフィッティング
Reduced by David Herald. (Update 2004.12)

この小惑星(85)Io による恒星食は、1995年12月10日の恒星食でも北米で6地点の観測が得られています。さらに、今回の日本での観測の わずか 18時間19分後には、ヨーロッパで別の恒星を掩蔽しました。 別の恒星食が、ヨーロッパの広い範囲で15名の観測者により減光の観測に成功しています。
David Herald氏によると、それぞれの観測から得られた楕円の大きさは以下の通りです。
1995年12月10日(北米): 194 x 138km
2004年12月07日(ヨーロッパ): 198 x 103km


さらにさらに、5日後の12月13日には、またもヨーロッパで、TYC 0144-01868-1(11.5等)の掩蔽にフランスからドイツの非常に広い地域 15地点で、食による減光が観測されました。11.5等の微光星でこれほどの成功観測が得られたのは特筆すべきで、 2004年に得られた観測では、2月18日日本での(498)Tokio による24地点での観測成功に次ぐものです。

以下は、David Herald氏(豪)による整約計算結果です。 201 x 160 km の楕円の断面が当てはまりました。

イオの楕円フィット
12月13日(85)Io による掩蔽(ヨーロッパ)の David Herald氏によるフィッティング
Reduced by David Herald. (Update 2004.12)


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