2003.10.19 小惑星ウルスラによる掩蔽の観測成果
2003.10.19 21時30分頃、九州から東北地方の広い地域で、小惑星ウルスラ(375 Ursula)によるやぎ座の恒星
(TYC6907-01155-1 mag 9.6)の食が観測されました。
この現象は、IOTA(The International Occultation Timing Association)により予報されていたもので、
食による減光の観測15地点、通過(食せず)の観測2地点のご報告を頂きました。
これほど多数の観測成果が得られることは、本年3月23日の(704)Interamunia
による食に匹敵する大成功です。以上のほかにも天候不良などで観測できずの
報告も多数頂いております。
ご協力いただきました皆様には、この場をお借りしまして御礼申し上げます。
(更新 2004.1.27)
下図はせんだい宇宙館による整約計算の結果です。
Reduced by Tsutomu Hayamizu. (Update 2004.1.27)
図の左側が潜入,右側が出現です。整約計算の結果、82km〜188km の小惑星の弦が得られています。
この小惑星は明るさの推定から、直径 106km 程度と考えられていましたが、観測から
得られた断面はその倍近くも大きい 200km ほどであることが分かります。
この(375)Ursula による恒星食は 1982年と1999年にいずれも米国で観測されており、
1982年の観測からは 217.6km x 199.7km の断面が得られていました。
今回の観測結果はそれを支持するものとなりました。
これらの結果から (375)Ursula は、かなり反射率の低い(=黒っぽい)小惑星であるか、
あるいはかなり扁平な立体形状であることが推測されます。
図中の「山内 誠G」は、山内誠さんをリーダとする、森田善之さん、那須祐司さんらの共同観測,
「一関星の会」は、佐藤敏朗さん、菅原寿さん、笠原正明さんらの共同観測,
「大北,山西」は、大北佳秀さん,山西郁也さんの共同観測です。
食の観測された冷却CCD画像より (掲載:2003.10.24)
井狩康一さん提供(滋賀県守山市)
掩蔽の様子を捉えた貴重な冷却CCDによる画像です。
長い線は、いずれも恒星が地球の自転により動いていくため線を引くものです。画像中央の線は、途中で暗くなっていますが、
ここで小惑星が恒星を隠したことを示しています。
Recorde by Yasukazu Ikari. (Moriyama Shiga.)
食の観測されたビデオ映像より (掲載:2003.10.30)
以下は、食の観測された、浜野和天文台(福島県郡山市),二瓶肇さん(山形県南陽市)
のビデオ映像から作成した、食の瞬間の連続画像です。各氏のご厚意によりまして掲載しております。
浜野和天文台提供(福島県郡山市)
減光の瞬間 (Dis-appearance) | 増光の瞬間 (Re-appearance) |
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Recorde by Hamanowa Obs.(Koriyama Fukushima.)
二瓶肇さん提供(山形県南陽市)
減光の瞬間 (Dis-appearance) | 増光の瞬間 (Re-appearance) |
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Recorde by Hajime Nihei.(Nanyo Yamagata.)
■ 関連のリンク ■
瀬戸口貴司氏(東亜天文学会)による整約計算結果
IOTAによる紹介ページ(Occultations by (357) Ursula )
1982年の小惑星(375)Ursulaによる恒星食に関する論文(R.L.Millis, D.W.Dunham et al,.AJ.Vol.89,P592-596)
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