下図はせんだい宇宙館による整約計算の結果です。
Reduced by Tsutomu Hayamizu. (Update 2004.1.27)
図の左側が潜入,右側が出現です。出現側が二重に見えていますのは、 段階的な増光のあったことを示し、対象星(HIP36189)がこれまで知られてい なかった不可視の二重星であったためと推測されます。また、この小惑星の推 定直径は316kmでしたが、食の瞬間の断面は長軸約347km,短軸約297km程 のいびつな姿が浮かび上がってきました。
図中の「佐藤-菅原」は、佐藤敏朗様,菅原寿様(岩手県一関市)の共同観測、「高島-大場」は、高島英雄様,大場富士夫様の共同観測です。
宮本篤様(宮城県仙台市)をリーダとする観測グループは、第1班が、宮本篤様,辰巳直人様,坂庭友子,馬籠伸紘様、
第2班が、池下亮様,井野友裕様,藤田弥栄子様,中村飛鳥様 の共同観測です。
このほか、田中隆雄様(神奈川県逗子市)からは、37〜43秒間の減光,今谷拓郎様&立花健志様(茨城県北浦町)からも減光のご報告を頂きましたが、
現象時刻を保時できなかったとのことで、図には記入されていません。
また、図に収まっていませんが、吉田秀敏様(北海道網走市)からも通過の観測報告を頂きました。
Dave Herald氏(IOTA,オーストラリア)による解析結果 (更新:2003.4.12)
今回の現象における、IOTA(The International Occultation Timing Association)のDave Herald氏による解析の結果を
ご紹介します。
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日本とハワイの観測結果から次の成果が得られました。
小惑星(704)Interamnia の断面に当てはめた楕円は、およそ 350.4 km x 303.7 kmで、
長軸の位置角は 84°であった。
観測された減光と増光の継続時間から推定して、
恒星の視直径は およそ 0.7 ミリ秒角である。
恒星の実直径は、およそ 0.2AU = 3 x 10^7 km で、これは太陽の20倍程度である。
出現側で段階的な増光が観測されていることから恒星が二重星であると考えられる。
Hipparcos星表のデータでは、固有運動に以下の加速成分が得られていることから、
連星であることが推測されており、観測結果と矛盾しない。
d(pmRA)/dt = (9.58 +/- 2.52) mas/yr^2
d(pmDE)/dt = (1.46 +/- 1.28) mas/yr^2
観測から得られた重星の離角はおよそ 13ミリ秒角で、位置角 230°。
以下の図は、Herald氏による整約図です。日本とハワイの観測結果が統合されています。
図中、[赤]は潜入側,[緑]は出現側を示します。[紫]は通過(食せず)です。
また、[小さな円]は光電管もしくはビデオによる観測,[+]は眼視による観測であることを示します。
隠された恒星は二重星であることが推測されていますが、上の図の太い線の楕円は、主星による小惑星の影,
細い線の楕円は伴星による小惑星の影を示します。下図は、主星による観測の影で小惑星の不規則な姿が浮かんでいます。
Observers. 1 MIYAMOTO Atsushi et al, Adachi, JP 2 IKESHITA Ryo et al,Kawauchi,Sendai,JP 3 OOTSUKI Isao, Maumori, Miyagi, JP 4 WATANABE et el, Takine, Fukushima, JP 5 TONOMURA Yasuhiro, Tomiya, Miyagi, JP 6 ORIBE Takaaki et el, Saji, Tottori,JP 7 YAEZA Akira,Moriyama-cho, Hitachi, JP 8 TAKASHIMA et al, Kashiwa, Chiba, JP 9 TAKASHIMA et al, Kashiwa, Chiba, JP 10 USUKI Ken-ichi, Niitsuru,Fukushima,JP 12 ITOU Yoshiharu, Aoba, Sendai, JP 14 HAMANOWA et al, Koriyama City, JP 15 IDA Miyoshi, Muraoka, Fukui, JP 16 SATO Makoto, Haranomachi, JP 17 FUJITA Mitsuhiro, Shiroishi,Miyagi,JP 18 KITA Nobusuke, Kashiwa, Chiba, JP 19 KITAZAKI Katsuhiko, Tokyo, JP 20 SUZUKI Satoshi, Yokohama, JP 21 SUGAI Hideo, Zao-hango, Yamagata, JP 22 NIHEI Hajime, Nanyo, Yamagata, JP 23 SUGIYAMA Yukihiro, Hiratsuka, JP 24 SUGIYAMA Yukihiro, Hiratsuka, JP 25 ISHIDA Masayuki, Kanazu, Fukui, JP 26 HIROSE Yoji, Chigasaki, Kanagawa, JP 27 HIROSE Yoji, Chigasaki, Kanagawa, JP 28 NAKANISHI Akio, Itabashi, Tokyo, JP 29 TSUCHIKAWA Akira, Yanagida, JP 34 KOISHIKAWA Masahiro, Sendai,Miyagi,JP 35 SATO Hikaru, Fukushima, JP 36 KANEKO Sakae, Sakura, Chiba, JP 37 B Bus, Mauna Kea, Hawaii 38 R Savalle, Mauna Kea, Hawaii 39 S O'Meara, Mauna Loa 40 E Clientuar, Hawaii 41 P Maley, Hawaii 42 V Fukunaga, Hawaii 43 W Fukunaga, Hawaii 44 B Brevoort, Hawaii 45 J Swatek, Hawaii 46 Rebecca Sydney, Honolua Bay, Maui, HI 47 David Dunham, Makena, Maui, HI 48 David Tholen, Turtle Bay, Oahu,Hawaii 49 B Brevoort, Hawaii 50 P Maley, Hawaii 51 KITA Nobusuke, Kashiwa, Chiba, JP 52 KANEKO Sakae, Sakura, Chiba, JP | |
食の観測されたビデオ映像より (掲載:2003.4.11)
以下は、食の観測された、大槻功さん(宮城県丸森町),星の村天文台(福島県滝根町) ,高島英雄さん・大場富士夫さん(千葉県柏市)
のビデオ映像から作成した、食の瞬間の連続画像です。各氏のご厚意によりまして掲載しております。
大槻 功さん提供
食の瞬間の 0.1秒毎の連続画像です。口径31cm反射望遠鏡による観測です。
大槻さんの観測位置は、ちょうど北限界線付近の接食となりました。
緩やかに減光し、そして約1秒後に再び緩やかに 復光する様子が捉えられました。
減光と増光の瞬間 (Dis & Re-appearance) |
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星の村天文台提供
食の瞬間の 0.1秒毎の連続画像です。口径65cm大口径反射望遠鏡にI.I.を組み合わせて、極めて光量豊かな映像が得られました。
約0.4秒かけて減光し、54秒後に約0.3秒かけて復光しました。この観測位置では伴星の影響と見られる振る舞いは明瞭ではありません。
減光の瞬間 (Dis-appearance) | 増光の瞬間 (Re-appearance) |
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高島英雄さん・大場富士夫さん提供
食の瞬間の 0.1秒毎の連続画像です。口径21cm反射望遠鏡にCCDモジュール(WAT-100N)を組み合わせました。
この映像からは、恒星が不可視の二重星であったことが理由と考えられる段階的な光度変化が、
出現側において観測されました。潜入の瞬間から64秒後に約8等(伴星)で出現し、
さらに5秒後に現象前の明るさ(6.7等)に復光(主星の出現)しています。
減光の瞬間 (Dis-appearance) | 増光(1回目)の瞬間 (Re-appearance 1) | 増光(2回目)の瞬間 (Re-appearance 2) |
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