網状星雲
網状星雲の愛称のある、はくちょう座にあるたいへん大型の星雲です。超新星爆発の残骸とされています。 写真にも割合に写りやすい天体ですが、作者の独特の撮影方法によって、この星雲の極めて複雑な構造が、 浮かび上がってきました。
望遠鏡では、あまりに大きすぎて、低倍率でうっすらとその一部を認められます。

網状星雲 NGC6979
網状星雲の北西部分 NGC6979

上野裕司さんのコメントより
NGC6979という星雲がこの付近に有りますがこの星雲を指しているのかわかりません。  Pickering's Triangleという名前が付いています。


網状星雲 NGC6960
網状星雲の西側部分 NGC6960

上野裕司さんのコメントより
 糸状星雲や、Witch's Broom等とも言われている星雲です。

今回、それぞれ、OV、Hα、SU輝線近辺のみ透過するナローバンドフィルターで 撮影し疑似カラー化しました。 ナローバンドとは言え、透過する範囲は少し広めのフィルターを使っているので 星が沢山写っています。 この付近の星雲は銀塩フィルムや、RGB合成による冷却CCDで撮影すると 赤と青の入り交じった二色の星雲として写るのですが、OV、Hα、SUを元に 疑似カラー化すると赤と青だけではないカラフルな画像になることが分かります。 画像を見ると、OV(青)とHα(赤)が重ならない部分が多く、青色以外の所は 赤と橙、黄色(山吹色?)といった色が入り乱れています。 橙色や黄色(山吹色?)はHαとSUが重なっている(または同一方向に見えている) 領域なので、この画像を見る限り、SUは広範囲でHαに重なるように分布しているようです。
網状星雲はSUフィルターで撮影すると、暗いもののHα等と同じよう広い範囲で写ります。 SUは水素や酸素より重い元素ですし、自分の機材では超新星残骸ではない惑星状星雲では SUはほとんど写らないので、それがこれだけ広がっているのは超新星爆発のエネルギーの 大きさが影響しているのかもしれませんね。
また、OVは単独で存在している領域が多く見えますが、どうしてこのような分布になるのか とても興味が深いですね。
それはさておき、思いのほか奇麗な画像になったのは嬉しい誤算でした。

撮影日:北西部分 2004年08月20日/NGC6960 2004年09月18日
機材: 13cm反射望遠鏡直焦点+BJ-41L
 Hα、SU、OVフィルターによる疑似カラー合成
撮影場所:鹿児島県与論島
撮影者:上野裕司