2002年6月11日 日本では部分日食でしたが、テニアン島(マリアナ諸島、サイパン島の南の島)では、
月が太陽にすっぽり収まる金環日食が観測されました。
同島に観測に行かれた、松本直弥さん(長崎県天文協会)より貴重な画像を送り頂きました。
2002年6月11日 テニアン島で見られた金環日食
金環日食は、日食の特別な場合の一つで、太陽と月がぴったり重なった時
に、見かけの大きさが月の方が小さいために、太陽の周辺がはみ出して、「金
環」状に見える現象です。
日本では1987年9月23日に沖縄で起こり、ちょうど国体開催中で話題になり
ました。日本の近くで見られた金環日食は、それ以来15年ぶりのことです。
テニアン島は、観光地として知られるサイパン島の南隣の島で、アクセスの良
さから500人以上の日本人が観測に出かけました。
当日、雲がとても多くて、見えるか否かは予断を許さない状況でしたが、幸
いなことに、金環になる7分前に大きな晴れ間が広がり、太陽が姿を現しまし
た。劇的な天気の変化に、歓喜のうちに金環を迎えました。
今回は、太陽と月の見かけの大きさが近く(食分=0.992)、そのため、金環
の状態は、現地時刻8時12分の前後、わずか20秒でした。
太陽と月の見かけの大きさが近い場合には、月の地形(山や谷)によって太陽
の縁が複雑に千切れる「ペイリービーズ」と呼ばれる現象が起こります。今回
は、金環の終わり(第3接触)で顕著なベイリービーズが認められ、たいへん印
象的でした。
2002.6.11
(上)08時11分35秒,(中)08時11分55秒,(下)08時12分12秒
望遠鏡:10p屈折、fl=1280mm
撮影地:テニアン島(マリアナ諸島)
撮影者:松本直弥(長崎県天文協会)