2011.7. 2 観測結果(天候不良)を掲載。
2011.6.27 最新の予報に更新。パリ天文台の予報へもリンクを追加。
6月27日に予報されていました、冥王星と衛生Hydra による恒星食に関しましては、 たくさんの皆様方のご協力を頂きまして、心より感謝申し上げます。 結果としては、全国的な天候不良のためにほとんどの地点で観測できませんでした。 この観測にご協力頂きました皆さまは以下の通りです。お礼も兼ねましてご紹介させて いただきます。 【天候不良】(順不同) [個人の観測者] 橋本秋恵さん(埼玉県) 小和田稔さん(静岡県) 渡部勇人さん(三重県) 浅井晃さん(三重県) 内山雅之さん(三重県) 井田三良さん(滋賀県) 石田正行さん(滋賀県) 中島洋一郎さん(岡山県) 影山和久さん(熊本県) 上野裕司さん(鹿児島県) [公開天文施設,大学] ハートピア安八天文台(岐阜県) 船越浩海さん 兵庫県立西はりま天文台(兵庫) 時政典孝さん・前野将太さん せんだい宇宙館(鹿児島県)
この現象は、Jay Pasachoff氏(Williams大学)と MIT(Massachusetts Institute of Technology) および Bruno Sicardy氏(パリ天文台)により、日本での観測を呼びかけられており、このサイトにて ご紹介します。 冥王星は言うまでもなく、かつては太陽系の惑星の一員とされていた、太陽系の外縁では 最大級の準惑星です。冥王星には現在までに3つの衛星の存在が確認されています。今回 の恒星食では、冥王星の本体と衛星 Hydra による恒星食が日本で起こる可能性があります。 隠される恒星(2UCAC 24676603)は 13.6等 は、冥王星(14.0等)よりやや明るく、恒星食を 起こした場合には 約1.0等の減光が起こります。 冥王星には大気が存在しているため、減光と増光は緩やかに起こることが予想されます。 このため、ノイズの影響が少ない範囲で、可能な限り時間分解能を確保した観測(ビデオ または 冷却CCDによる反復撮影)が望まれます。例えば1秒の誤差は冥王星上の 24km に 相当します。短い露出時間を確保するためにフィルタは特に必要としません。 現在までに発表されているパリ天文台とMITによる予報を以下に示します。両者の予報 はほとんど同じものとなっています。冥王星による掩蔽帯は日本全国を覆うものとなって います。衛星Hydra の掩蔽帯は東南アジアとなっておりますが、誤差が大きいために日本 でも起こりうるとのことです。 Bruno Sicardy氏(パリ天文台)による予報ページはこちら ※ このサイトの一番下が最新の予報です。 MIT(Massachusetts Institute of Technology)による予報ページはこちら MITによる詳しい解説(英文) 食の起こる可能性がある地域と予報の誤差 ○ 現象時刻の予報の誤差(1σ)は 25秒程と見られますが、さらに大きな誤差を含むこともあり得ます。 衛星Hydraの情報 ○ 推定直径は不確定ですが、最近の研究(Tholen, Buie, Grundy, Elliott 2008.)によると 72km 程度とされています。 ○ 衛星Hydra による予報の誤差も 冥王星本体と同程度と見られます。 この観測の科学的なゴールは主に次の通りです。 ○ 冥王星の大気による減光を含む正確な直径を測定すること。 ○ 冥王星の大気による変更曲線を得ること。 ○ 冥王星の軌道をさらに正確に決めること。 ○ 衛星Hydra の直径を測ること。 等 ※ この予報は今後も改良される可能性があります。
【注目】 ■ 2011.06.27 23h17m JST 恒星 :2UCAC 24676603 13.6等 赤経 18h 25m 29.014s,赤緯 -18°48' 47.61"(J2000) いて座 準惑星:冥王星 14.0等 推定直径 2800km 減光 :約 1.0等 減光の継続時間: 最長 117秒 冥王星の大気による増減光時間を含む 掩蔽帯:誤差を考慮すると全国が可能性圏内 備考 :現象時刻は +/-数分程度の誤差を見込んで下さい ■ 2011.06.27 23h50m JST 恒星 :2UCAC 24676603 13.6等 赤経 18h 25m 29.014s,赤緯 -18°48' 47.61"(J2000) いて座 対象天体:Hydra(冥王星の衛星)23.0等 推定直径: 72km?(現状では不確定) 減光 : 1.0等 継続時間 最長 3.0秒? 掩蔽帯:誤差を考慮すると全国が可能性圏内 備考 :現象時刻は +/-数分程度の誤差を見込んで下さい Star : 2UCAC 24676603 (mag13.6) TNO : 冥王星 (mag14.0),衛星 Hydra (mag23.0) 視野5度平方 The SKY 6 により作成 視野2度平方 The SKY 6 により作成 視野30分平方 The SKY 6 により作成 視野15分平方 DSS より取得
必要なデータは、
1.観測者氏名および氏名のローマ字標記
2.観測地および観測地の経緯度と標高,測地系
3.観測開始と観測終了の時刻
4.減光が観測されたか? 減光が観測されなくとも重要なデータです。
5.減光がおきた場合の時刻:減光開始の時刻および減光終了の時刻
6.観測機材
7.時刻保持の方法
です。観測は眼視によるものでも重要なデータとなりますが、可能な方は、是非
ビデオによる観測をお願いいたします。時刻保時のためには、極力、GPS時計、
短波時報(外国)などの正確な時報を用いてください。固定電話による117時報も
0.03秒程度の信頼性があります。携帯電話の時報、電波時計、は1秒以下の遅
れがありえますので、前述の時報が得られない場合に使用してください。