最終更新 2000.8.2

肉眼で見えるか? リニア彗星の情報

「彗星」は、「ほうきぼし」とも呼ばれる、太陽系の天体の一員です。 実体は、直径数100m〜数10Km程の大きさで、不純物の混ざった氷が主成分であり、「汚れたゆきだるま」 に例えられます。
 太陽に近づくと、表面が温められて蒸発がはじまり急激に明るくなります。「彗星のように現れる」という言葉は、 このような性質から産まれたものです。また、彗星を取り巻くイオンやダスト(塵)を含んだ水蒸気は、 彗星をぼんやりとした外観を与え、さらに成長すると太陽からのプラズマの風に流されて 長い尾を引くように見えるようになります。

7月01〜02日には、川内市立少年自然の家との共催で、 彗星に関するイベントを開催しました。


バラバラになってしまった!? リニア彗星急速に減光

 国際天文連合による発表によると、リニア彗星は7月26日以降、中心核がはっきりしなくなった模様です。 さらには、その後の観測でも急速に輝きを失いつつあります。 これは、彗星の本体がバラバラに砕けてしまったことを示すものと考えられ、近い将来 消滅してしまう可能性が高いと見られています。
 彗星が最も接近した7月の下旬は、南部九州においては天候に恵まれる日が少なく、 彗星を観察できる日があまりありませんでしたが、早くも彗星そのものがなくなってしまうかもしれません。


7月07日のリニア彗星
2000年7月07日2時42分〜3時02分
50cmF12反射 + レデューサ(×0.5) 露出1分×8コマ Bitran BT-11C

口径50cm主望遠鏡によるクローズアップ画像です。
頭部が緑色に光っていることが分かります。


7月05日のリニア彗星
2000年7月05日2時56分
15cmF8屈折 + レデューサ(×0.5) 露出5分 Bitran BT-11C

明るさ、およそ7等。近日点通過を3週間後に控えて急激に成長しました。 長く伸びた尾がどこまで成長するか、楽しみです。

参照 : 7月02日のリニア彗星/松下優さま撮影


5月30日のリニア彗星
2000年5月30日4時05分 せんだい宇宙館 早水
50cmF12反射 + レデューサ(×0.5) 露出1分 Bitran BT-11C

明るさは、およそ11等。約半月でだいぶ明るくなりました。わずかながら尾が発生しています。


5月12日のリニア彗星
2000年5月12日4時20分 せんだい宇宙館 早水
15cmF8屈折 露出3分 Bitran BT-11C

当館の初観測画像です。明るさは、およそ13等。非常に暗いことに加え、超低空のためようやく写りました。


 下図は、彗星の明るく見る、7月から8月にかけての彗星の位置予報(地平座標)です。 背景の星空は、明け方は、7月1日,夕方は、7月16日のものですので、それ以外の日は、 彗星との位置関係が少しづつずれてきますのでご注意ください。 背景の星空を基準とした星図(赤道座標の星図)はこちらになります。

明け方に見えるリニア(1999S4)彗星の位置予報
明け方の1999S4
* この予報図は、瀬戸口貴司氏(鹿児島市)制作のYOCにより作成しました。
* 彗星の位置は、午前4時頃、背景の星空は、2000年7月1日(於:鹿児島)のものです。

夕方に見えるリニア(1999S4)彗星の位置予報
明け方の1999S4
* この予報図は、瀬戸口貴司氏(鹿児島市)制作のYOCにより作成しました。
* 彗星の位置は、午後8時半頃、背景の星空は、2000年7月16日(於:鹿児島)のものです。


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