2005.2.2UT (141)Adeona による TYC2498-01243-1(mag10.4)の掩蔽の評価


2005.2.2UT (141)Adeona による TYC2498-01243-1(mag10.4) 全過程
撮影条件
機材:300mm F2.8 Camera lens, WAT-100N
保時:GPS1801+TIVi
観測者:川村晶 Akira Kawamura (群馬県鬼石町)
評価条件
映像:640×480 サイズ AVI 約20秒 (川村晶氏提供映像)
Aperture size : 5
Back ground in : 10
Back ground out: 24

測定結果
グラフの横軸はフレーム番号
生データ

(Vertical:Brightness, Horizontal:Frame= 1/30sec)

メジアン(中間値)フィルター /3値の中間値

(Vertical:Brightness, Horizontal:Frame= 1/30sec)

メジアン(中間値)フィルター /5値の中間値

(Vertical:Brightness, Horizontal:Frame= 1/30sec)

エクセルによる評価ファイルはココ (Microsoft Excel: 131KB)


考察
2005.7.3 JOIN:8076 より

  JOIN:8074 でもお知らせしましておりますよう、宮下さんの開発された Limovie を評価しております。ちょうどタイミングの良いことに、
川村晶さんから氏の撮影された、2月3日(141)Adeona によるTYC2498-1243-1(mag10.4) の掩蔽のビデオをお送りいただきましたので Limovie 
で実験してみました。川村さんにはご厚意を大変有難うございます。
  この観測は、JOIN:7697 にて報告されていたもので、以下の点で特徴のあるものでした。
・10.4等という微光星に対してカメラレンズ(300mmF2.8)で観測されている。
・このためにゲインを上げたためにノイズの多い映像である。
以上の点については、川村さんご自身も以下のように述べておられます。
> 恒星が暗いのと小惑星が明るいので、かすかに小惑星が写ってしまっていて、
> さらに光学系の焦点距離が短いため、分解能が足りない感じで、
> 恒星と小惑星の分離がむずかしく、なかなかきっちりと判断できません。
> 何度やっても、小惑星の恒星食はむずかしいですね。

私の感想としては、10.4等をカメラレンズで動画撮影できる川村さんの技術に驚きます。

さらに整約計算の結果、小惑星の北端付近を接食に近い状態で観測されており、他の観測者においても現象が瞬間的でなかったことを報告され
ています。以上のような厳しい条件の映像を Limovie でどの程度の解析が可能かを試したのが上記の結果です。

  このサイトに掲載する前に、Aperture, Back ground の定数をいろいろ変えて実験してみました。デフォルトの「Aperture 16」「BKG in 18」
「BKG out 24」では、(Elpis の実験では良好でしたが)今回は数値がかなりバラついてしまいました。そこで、これらの定数を変更した結果、
「Aperture 5」「BKG in 10」「BKG out 16」と、特にAperture値を小さくしたところ、光度変化が読み取れるようになりました。Webにはこの結
果のみを掲載しています。
  この理由は、Back Ground がノイジーで、恒星が微光の映像の場合は、Apertureを小さくすることで S/N比 を改善する効果があるのだと考えら
れます。ただし、Apertureを小さくしすぎると、恒星のハレーションが捕らえられなくなる恐れもありますので注意が必要です。映像によって
は、このような操作で改善できることが実験で分かりました。
  今回もメジアンフィルターによる統計処理を試みています。ごらん頂くと分かりますよう、より現象の変更曲線が浮かび上がってきました。
この映像から、減光はゆっくりと起こり、出現が瞬間的に起こった様子が読み取れます。このことは、同じ現象を眼視で観測されていた、橋本
さんのコメント JOIN:7695 でも、
> *減光開始時は0.5sほどかかって緩やかに減光し、終了(復光)時は瞬間的
とされており、橋本さんの観察眼の素晴らしさが分かります。このことが何を示唆するものか、とても興味深く思われます。
(早水)

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2005.7.5 JOIN:8081 より

  さて、宮下さんから個人的にアドバイスを頂いておりましたことで、再実験しましたので JOIN を通じてお返事いたします。
(141)Adeona については、
# アパチャーはこのままで、もう少しバックグラウンドを広げてみていただけませんでしょうか。600Pixelを確保しているから、十分
# ではあるのですが、僅かながら改善ができる可能性も残されているかとは思いますので。
とお知らせいただいておりまして、以下のように変更してみました。
(前回) Apature 5 ,BKG in 10 ,BKG out 16
(今回) Apature 5 ,BKG in 10 ,BKG out 24

以上の実験の結果にてこのページを更新しています。

(141)Adeona の方は、見比べると以前よりはまとまりがあるように見えますが、大差はなさそうです。ここらは元の映像の限界かもしれ
ません。
  いろいろご教示いただきまして、だいぶコツが飲み込めてきたようです。「Aperture は小さく、BKG は大きく」がポイントですね。
(早水)


整約計算結果

アデオナによる掩蔽
Reduced by Tsutomu Hayamizu. (Update 2005.2.10)


関連のページ
2005.02.03 小惑星アデオナによる掩蔽の観測成果


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