2004.2.14 てんびん座X21573星によるグレージング(接食)結果


X21573の接食(松下優氏ビデオより)
 2004.2.14 04時13分頃、鹿児島県枕崎市で見られた てんびん座にある X21573星(mag8.0) による接食(南限界)の結果です。
せんだい宇宙館と鹿児島天文協会の合同チーム(4ポイント7名)は、川内市にてこの現象の観測に望み、3ポイントでビデオによる観測に成功しました。 これによりこれまで知られていた Watts の月縁を、さらに精密にする成果が得られました。
 また、この X21573星接食のビデオでは、出現の際に段階的な増光が 観測されたことから、これまで知られていなかった不可視の重星の可能性が出てきました。 下図は整約計算の結果得られた月縁図です。実線はこれまで採用されていた、Wattsの月縁データです。 観測結果から、この部分のWattsの月縁データはやや高かったことが分かります。
(掲載:2004.3.07)

以下、整約計算者相馬充氏によるコメントです。
****
 重星データは既存のカタログにありませんので取りあえず同じ恒星位置で 整約してあります.重星の振る舞いは貴重な発見ですね. ワッツ角 201°付近の月縁は1986年の接食でワッツの図よりやや低そうだと 見られていましたが,ここに山谷が浮かび上がったのはすばらしいです.


2004年2月14日 X21573 接食の整約図
Reduced by Mitsuru Soma.(Update 2004.3.7)


Graze of X  21573 on 2004/02/13                  Basis = 99C

  WA   Height   WH   Diff   l     b    Observer's Name    PhenC      UTC
   o     "      "     "     o     o                               h  m   s
196.87 +1.105 +1.20 -0.10 -1.60  2.05 Hiroshi MATSUSHITA   DD 1  19 10 31.94
200.94 +0.017 +0.22 -0.20 -1.60  2.05 Hiroshi MATSUSHITA   RD 1  19 13  8.73
200.94 +0.018 +0.22 -0.20 -1.60  2.05 Hiroshi MATSUSHITA   Ot 1  19 13  8.80
201.03 +0.046 +0.14 -0.10 -1.60  2.05 Hiroshi MATSUSHITA   DD 1  19 13 12.14
201.12 +0.078 +0.17 -0.09 -1.60  2.05 Hiroshi MATSUSHITA  FRD 1  19 13 15.71
201.12 +0.079 +0.17 -0.09 -1.60  2.05 Hiroshi MATSUSHITA  BRD 1  19 13 15.81
201.28 +0.140 +0.26 -0.12 -1.60  2.05 Hiroshi MATSUSHITA   DD 1  19 13 21.91
202.00 +0.507 +0.54 -0.03 -1.60  2.05 Hiroshi MATSUSHITA  FRD 1  19 13 49.77
202.01 +0.512 +0.54 -0.03 -1.60  2.05 Hiroshi MATSUSHITA  BRD 1  19 13 50.07
196.90 +1.220 +1.23 -0.01 -1.60  2.05 Tsutomu HAYAMIZU     DD 1  19 10 33.26
200.34 +0.022 +0.37 -0.35 -1.60  2.05 Tsutomu HAYAMIZU     RD 1  19 12 45.69
200.44 +0.038 +0.34 -0.30 -1.60  2.05 Tsutomu HAYAMIZU     DD 1  19 12 49.63
200.90 +0.144 +0.28 -0.14 -1.60  2.05 Tsutomu HAYAMIZU     RD 1  19 13  7.15
201.40 +0.328 +0.33 +0.00 -1.60  2.05 Tsutomu HAYAMIZU     DD 1  19 13 26.45
201.54 +0.395 +0.44 -0.04 -1.60  2.05 Tsutomu HAYAMIZU     RD 1  19 13 32.06
201.56 +0.406 +0.45 -0.05 -1.60  2.05 Tsutomu HAYAMIZU     DD 1  19 13 32.93
201.85 +0.555 +0.54 +0.02 -1.60  2.05 Tsutomu HAYAMIZU     RD 1  19 13 43.84
196.93 +1.312 +1.25 +0.06 -1.60  2.05 Seiichi MORINAGA     DD 1  19 10 34.12
197.39 +0.955 +1.15 -0.20 -1.60  2.05 Seiichi MORINAGA    FRD 2  19 10 52.11
197.40 +0.954 +1.15 -0.19 -1.60  2.05 Seiichi MORINAGA    BRD 2  19 10 52.19
197.47 +0.902 +1.05 -0.15 -1.60  2.05 Seiichi MORINAGA     DD 1  19 10 55.12
197.48 +0.896 +1.04 -0.15 -1.60  2.05 Seiichi MORINAGA    FRD 2  19 10 55.44
197.49 +0.891 +1.03 -0.14 -1.60  2.05 Seiichi MORINAGA    FDD 2  19 10 55.72
199.07 +0.185 +0.33 -0.14 -1.60  2.05 Seiichi MORINAGA     RD 1  19 11 56.81
199.08 +0.184 +0.32 -0.14 -1.60  2.05 Seiichi MORINAGA     DD 1  19 11 56.93
199.10 +0.179 +0.32 -0.14 -1.60  2.05 Seiichi MORINAGA     RD 1  19 11 57.79
199.10 +0.179 +0.32 -0.14 -1.60  2.05 Seiichi MORINAGA     Ot 1  19 11 57.86
199.11 +0.178 +0.32 -0.14 -1.60  2.05 Seiichi MORINAGA     DD 1  19 11 57.98
199.13 +0.173 +0.31 -0.13 -1.60  2.05 Seiichi MORINAGA     RD 1  19 11 58.89
199.13 +0.173 +0.31 -0.13 -1.60  2.05 Seiichi MORINAGA     Ot 1  19 11 59.03
199.22 +0.155 +0.28 -0.13 -1.60  2.05 Seiichi MORINAGA     DD 1  19 12  2.52
200.29 +0.128 +0.37 -0.24 -1.60  2.05 Seiichi MORINAGA     RD 1  19 12 43.71
200.29 +0.128 +0.37 -0.24 -1.60  2.05 Seiichi MORINAGA     Ot 1  19 12 43.78
200.48 +0.157 +0.33 -0.17 -1.60  2.05 Seiichi MORINAGA     DD 1  19 12 51.07
200.85 +0.242 +0.34 -0.10 -1.60  2.05 Seiichi MORINAGA     RD 1  19 13  5.29

凡例
WA    :ワッツ角(Watts Angle)
Height:ビデオ観測により求められた平均月縁からの高さ
WH    :ワッツの月縁図による高さ(Watts Height)
       後続の"a" は外挿のため精度がやや悪い,
       "b" はワッツのデータがほとんどないため大きな外挿を要し精度がかなり悪いの意.
Diff  :Height と WH の差
l,b   :月の秤動(l,b)
Observer's Name:観測者名
Phen  :現象 (DD:暗縁からの潜入,DB:明縁からの潜入,RD:暗縁からの出現,RB:明縁からの出現)
C     :観測の確かさ("1" は "現象は確かである" の意)
UTC   :現象時の協定世界時

* 整約は相馬充氏(国立天文台)によります。

観測に参加された皆様(順不同,敬称略) 松下優,森永成一,早水勉,前田利久,山田智彦,倉山高幸,早水さとみ 以上 7名


以下は、X21573 の接食観測において、恒星の出現の際に記録された、段階的な増光です。 およそ9〜10等級の小さな伴星が出現して、およそ 0.3秒後に 9等級の主星が出現しました。
画像は、1/30sec毎切り出しです。1/100秒の桁が見づらくなっているの は、1/60秒の2つの field が合成して 1 Frame を構成しているためです。
伴星は 04h13m49.77s頃出現しています。非常に微かですが、モニター上で分かるでしょうか。

松下優氏のビデオ画像より
口径12.5cmF10シュミットカセグレン + WAT100-N CCDカメラ
GHS時計 + TIVi (Time Inporser) により保時


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