2004.02.18 小惑星トキオ(東京)による掩蔽の観測成果


撮影:福田幸司様(徳島県由岐町)
PENTAX 105SDHF屈折(D10.5cm F7),Canon EOS Kiss Digital
露出開始 01h35m00s / 露出終了 01h36m00s
2004.02.18 01時35分頃、西日本の広い地域で、小惑星トキオ(498 Tokio) による おとめ座の恒星(HIP 65791 mag7.3)の食が観測されました。この 現象は、IOTA(The International Occultation Timing Association)によ り予報されていたもので、これまでに食による減光の観測24地点、通過(食 せず)の観測12地点のご報告を頂きました。また、掩蔽帯の延長上のニュー ジーランドでは2地点で通過が観測されています。

右の写真は、福田幸司さん(徳島県由岐町)により撮影された日周運動の光跡です。 中央の恒星(HIP65791 7.3等)の線は途中で途切れており、ここで小惑星が恒星 を隠したことが分かります。 露出の開始と終了の時刻を正確に管理することで、現象の時刻を割り出しました。
(更新 2004.5.30)


ご協力いただきました皆様には、この場をお借りしまして御礼申し上げます。  下図はせんだい宇宙館による整約計算の結果です。

トキオによる掩蔽
Reduced by Tsutomu Hayamizu. (Update 2004.5.30)

図中の観測者のお名前において、
*「山西,大北,海部」は、山西郁也さま、大北佳秀さま、海部奈緒子さま、の共同観測
*「星の子館」は、星の子館(兵庫県姫路市)における、小関高明さま、安田岳志さま、の共同観測
*「西はりまObs」は、西はりま天文台(兵庫県佐用町)における、時政典孝さま、坂元誠さま、鳴沢真也さま、下代博之さま、の共同観測
*「那賀川町Obs」は、那賀川町科学センター(徳島県那賀川町)における、堀 寿夫さまの観測
*「市原,三宅」は、市原一秀さま、三宅昭二さま、の共同観測
*「松村,吉原」は、松村雅文さま、吉原智映さま、の共同観測
*「美星Obs」は、美星天文台(岡山県美星町)における、綾仁一哉さま、の観測
*「細川,山尾」は、細川康彦さま、山尾均さま、の共同観測
*「高知工大」は、高知工科大学Space.Lab(Space.Lab, Kochi University of Technology)による観測
です。

※ 観測結果は星食のメーリングリスト JOIN に公開されたものです

図の上側が潜入,下側が出現です。
小惑星(498)Tokio は、東京天文台の平山信教授により日本で初めて発見 (1900年3月)された小惑星で、それから 100年を経て恒星食により、またも日 本で歴史上初めてその姿が観測されたことになります。およそ長径85km x 短径60km の特徴的な姿です。
また、David Dunham氏(IOTA会長)は、食の際に0.2secほどの緩やかな減光 と増光が観測されていることについて、対象星がスペクトル型K2の7.3等 であることから、極めて大きな視直径(赤色巨星)による効果を指摘しています。

速報の段階で、Raymond Dusser氏 (IOTA European Section)は、この小惑星が二つの球体 (または楕円体)が極めて接近か、部分的につながっている「Snowman model」 の可能性を指摘していました。しかしながら、観測が集まるにつれて、楕円形状を当てはめる見方が大勢となっています。


■ 小惑星(498)Tokio の掩蔽帯 ■
下図は、Steve Preston氏(IOTA)による最終的な改良予報(2004.2.11発表)の掩蔽帯と、観測者の配置です。
は食の観測された地点、は、通過の観測された地点です。 ほぼ、予報どおりに食の起こったことがわかります。


Dave Herald氏(IOTA,オーストラリア)による解析結果
今回の現象における、IOTA(The International Occultation Timing Association)のDave Herald氏による解析の結果を ご紹介します。
小惑星(498)Tokio の断面は、およそ 94.0 km(+/-2.8km) x 65.0 km(+/-0.5km),長軸の位置角 57.1°の楕円と計算しています。


Reduced by OCCULT (David Herald). / Update 2004.2.28


食の観測されたビデオ映像より (掲載:2004.4.7)
以下は、食の観測された、高畠徹様(岡山市),監物邦男様(倉敷市) のビデオ映像から作成した、食の瞬間の連続画像です。各氏のご厚意によりまして掲載しております。

高畠徹さん提供(岡山市)
減光の瞬間
(Dis-appearance)
増光の瞬間
(Re-appearance)

Recorde by Tohru Takabatake.(Okayama)

監物邦男さん提供(倉敷市)
減光の瞬間
(Dis-appearance)
増光の瞬間
(Re-appearance)

Recorde by Kunio kenmotsu.(Kurashiki.)


■ 関連のリンク ■
佐藤幹哉氏(FAS府中天文同好会)による小惑星の経路図
広瀬敏夫氏(東亜天文学会)による解析のページ


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